DX時代のグループウェアの選び方とは

「これから導入するグループウェアを選んでるんだけど、どうやって選べば良いのだろう?」「これからの時代に最適なグループウェアの選択基準が分かるのだろうか?」そんな、疑問と期待を持って、この記事にアクセスしてくれましたか?まさに、この記事はそんな疑問を持った方に対して、道標になったら良いなと思って書いています。

この記事を読み終わる頃には、グループウェアの選び方のみならず、DX時代の情報システムのあるべき姿が理解できていると思います。

||よくある選び方

「グループウェア 比較」そんな検索をして、様々なサイトを訪れては途方に暮れていませんか?比較記事や比較サイトにアクセスすると、機能の○×表や価格の比較がされています。そうなると、できるだけ機能が多く、できるだけ低価格の製品を選びたくなるものです。

比較表イメージ

では、グループウェアは○×表の◯の多さだけで選んでしまって良いのでしょうか。DXの観点から言うと、そういった選び方は最適ではなく将来的に得られる利益を失いかねない、あまりよろしくない選び方と言わざるを得ません。では、どうやって選べば良いでしょうか。まずは、よくある選び方として「一番機能が多い、全部入りグループウェア」を選んだものとして、活用例とその際の落とし穴を見ていきましょう。

||活用例

よくあるグループウェアにおいては、「スケジュール管理」「掲示板」「ファイル管理」「ワークフロー」などの機能が付いていることが多いと思います。その中でも「スケジュール管理」は、自分や他のメンバーの本日の予定などを把握するため、常にアクセスしている画面になることが多いです。その意味では、スケジュール管理機能は、グループウェアの核となる機能と言えます。

スケジュールを把握するために、常にアクセスするグループウェアに、様々な情報を蓄積することは一見、生産性高く業務を行うために相応しい活動に見えるかも知れません。まずは良くある運用方法を振り返ってみましょう。

例えば、グループウェア内の掲示板機能を使って日報を提出させる運用があったりします。掲示板に名称をつけて「◯◯さん 日報」のような運用方法を取るケースです。これは書き込んだ内容に対して、他者も閲覧しやすく、掲示板にコメントを追加してコミュニケーションを取ったりすることができます。日報を見た先輩や上司がアドバイスをしてあげる、といったことが気軽にできる運用です。

他にも、スケジュール機能にファイル添付の機能が備わっていることから、会議のために作成した資料を添付することができます。これで、会議当日に資料がどこにあるか探す必要が無くなります。

さらに活用を進めていくと、報告書作成機能でお客様との商談内容を報告したり、といったことも行うことになるでしょう。

こういった、業務の多くの情報・データを1つのグループウェアに登録する使い方は、見るべき場所が減って一見便利なように見えますが、注意したい落とし穴がひそんでいます。それはどういったものでしょうか?

||使ってわかる落とし穴

どんなところに落とし穴が潜んでいるか確認するために、活用例を振り返ってみましょう。

活用例の最初に挙げた掲示板を使った日報提出の運用ですが、グループウェアを利用していなくても、これと同じ様な利用をするツールをお持ちの方も多いと思います。この運用では掲示板での運用という特性上、検索が日付範囲の指定ができなかったり、添付されたファイルを探せなかったり、訪問先企業数の集計ができなかったりといった問題が発生します。「あの資料はいつの日報に添付してくれたっけ?」「今月は結局何件訪問したの?」そんな会話があったら、落とし穴にハマっているサインです。

また、スケジュール機能にファイルを添付することは、どうでしょうか?会議の前に資料を共有できるので、上手く活用できているような気がしますが、これも問題を抱えています。各自、資料をダウンロードし、会議の中で議論し、資料のアップデートがあった場合でも、各メンバーの資料はアップデートされないのです。資料をローカルにダウンロードし、各メンバーが別の資料を見ることは非効率に繋がります。「あの資料の最新版、誰が持ってる?」そんな会話があったら、こちらも落とし穴にハマっていると思って良いでしょう。

最後に、経費精算などの業務をグループウェア上のワークフローで行っているケースもあるかと思います。その場合、その場での申請・承認は気軽にできるのですが、経費を四半期単位、年単位、部署単位でまとめられないケースがあるなどが起こり得ます。まとめて把握するためには、CSVダウンロードと計算が必要、などとなっていたら、落とし穴にハマっているかも知れません。

||なぜ落とし穴にハマってしまうのか?

なぜ上記の様な落とし穴にハマってしまうのでしょうか?その原因は、永続的に管理・蓄積すべきストック型の情報と、その場限りで良く、蓄積する必要の無いフロー型の情報を分けて考えて、それぞれに最適なツールを選択する、という発想が持てていないことにあります。

ストック型の情報とは、お客様情報や、お問い合わせ情報など、将来に渡って検索や再活用することがある情報を指します。フロー型の情報とは、社内メッセージや、スケジュール情報など、一度使ったら再度活用することがほぼ無い情報を指します。これらを混在したツールで管理することは、落とし穴だらけの道を進んで行くことと同じなのは、既に説明したとおりです。

ここまで考えると、「オールインワンツール」等と銘打っているグループウェアを活用することのリスクは理解できると思います。たしかに、機能一覧を見るとなんでもできそうに感じるのですが、実際には情報を検索/集計/分析といったことができず、業務の改善どころか、現状の確認すらままならなくなるケースさえあります。

||データ活用に向けた情報取り扱いの考え方

大事なのは、永続的に管理・蓄積すべきストック型の情報と、蓄積する必要の無いフロー型の情報を分けて考えて、それぞれに最適なツールを選択する、という考えです。これは落とし穴にハマる考えとは全く逆です。つまりこの考えさえあれば、データの活用を最適化する際、落とし穴にハマることが無くなります。最適なツールを使い分ける、という考えこそが、データを活用した業務変革、つまりDXを行うために必要な姿勢だと考えています。

情報の特性を分けて考えて、ツールもその目的に合わせて選ぶという考えは、生産性に直結します。日本の1.5倍の労働生産性を稼ぐアメリカにおいて、クラウドサービスの導入数が急激に伸びているのは、データ活用に向けた情報共有の考え方をしっかりと考えぬき、最適なツールを選択している証左と言えるのでは無いでしょうか。

“デジタルトランスフォーメーション(DX)に関して、日本は欧米に比べて大幅に遅れをとっているとされる。その傾向を如実に示しているのが、SaaSの利用動向だ。日本では企業1社あたりのSaaS利用個数が2019年時点で平均7.6個。対して米国企業では2015年の段階ですでに8個で、5年後の2020年に至ってはその10倍、なんと80個にまで増加しているという。

Impress Business Library
SaaSの潮流が日本にも到来!企業ユーザーが備えるべきポイントを徹底解説提』より引用

さて、何回か情報の取り扱いに関して説明をしてきました。特にストック型なのか、フロー型なのか、という点に着目して、同じ話を裏表からしてきました。ここまで読んでくれた方であれば、グループウェアを選択する時の考え方を、具体的に言えるようになっているかと思います。最後に、具体的にどのようなツールと、取り扱う情報の対象を示します。ツール選定の一助になれば幸いです。

DX時代に最適なツールの例

これまで説明したような観点で、選択するとどのようなツールの組み合わせになるでしょうか。いくつかのサンプルパターンを紹介します。

||1.情報を蓄積・統合して活用するツール

■salesforce(セールスフォース)

【概要】
主力の「Sales Cloud」は、※世界でも日本でも、もっとも使われているSFA(営業支援システム)です。営業支援システムと言えば必ずといっていいほど名前があがります。顧客の企業情報や営業担当者の活動状況や売上の予測など重要な顧客情報を一元管理ができます。あらゆるデータを統合できる巨大なプラットフォームであり、顧客に至るまでの商談状況などリアルタイムに営業プロセスを可視化しビジネスを加速させます。SNSとの連携や、外部に公開できるフォームとの連携をすることで、情報の手動入力だけでなく、外部から入力されるお問い合わせ情報や、リード情報の蓄積も可能です。最近ではSlackを277億ドル(約3兆円)で買収をしたというニュースがあり一層存在感を増しています。

(**出展: IDC, Worldwide Semiannual Software Tracker, October 2018.)

【特徴】

・世界No.1のCRM(顧客管理)プラットフォーム
・APIやプラグインなど100種類以上の連携サービス
・プロセス、情報をまとめるのが得意

【料金プラン(月額)】

• 3,000円/1名(Essentials)
• 9,000円/1名(Professional)
• 18,000円/1名(Enterprise)
• 36,000円/1名(Unlimited)

■kintone(キントーン)

【概要】

サイボウズ社の提供する国産の業務改善プラットフォームです。開発の知識がなくても自社の業務に合わせたシステムを簡単に作成できるノーコードタイプのシステムで、後ほどご紹介をするNotionなどもノーコードタイプです。感覚的な操作で顧客管理や案件管理はもちろんのこと、顧客自身でアプリケーションを作成することで、様々な形式の情報を蓄積することが可能です。また、こちらも外部フォームとの連携でお問い合わせ情報を外部から入力することが可能です。

【特徴】

・柔軟なカスタマイズ性
・APIやプラグインなど100種類以上の連携サービス
・バラバラな情報を一つにまとめるのが得意

【料金プラン(月額)】

• 780円/1名(ライト)
• 1,500円/1名(スタンダード)

■Notion(ノーション)

【概要】

Notionのサイトにもでかでかと記載のある「All-in-one workspace」というコピーのとおり、このツールひとつで、会社全体のプロジェクト運営、知識の共有や情報連携を実現できるツールです。仕事で使うツールは用途ごと使い分けているという方がほとんどなのではないでしょうか?

例えば、ドキュメント管理はGoogleドキュメントやQiita team、表計算はGoogleスプレッドシート、ファイル管理はBoxやDrop box、タスク管理はTrelloやAsanaなど。Notionはこれらの機能がすべて備わっています。使い方もとてもシンプルでマニュアルがなくても感覚で操作ができるツールとなっています。

【特徴】

・感覚的に操作ができる操作性の高さ
・情報検索のしやすさ
・個人利用だけならずっと無料(パーソナル)

【料金プラン(月額)】
・4ドル/1名(パーソナルPro)
・無料/1名(パーソナル)
・8ドル/無制限(チーム)
・お問い合わせ/無制限(エンタープライズ)

||2.蓄積の必要がないフロー型の情報向けのツール

チャットツール

■slack(スラック)

【概要】

世界150ヵ国以上の企業で導入されているビジネスチャットツールです。前述した、salesforce、notionをはじめとし、zoomやGoogleなど有名なツールはほぼすべて連携ができます。slack App ディレクトリというアプリストアには、2,400 種類を超えるアプリがあります。他のシステムとの連携をすることでslackチャンネル上に通知や情報のアップデートがされるため、最新の情報にいつでもアクセスができます。通知に関してはslackだけを見ていれば大丈夫!という状態で運用している方も多いのでは無いでしょうか?

【特徴】

・連携できるアプリの数が2400種類以上と豊富
・ゲスト、社内でチャンネルを分けて運用が可能
・音声通話、ビデオ通話、画面共有も可能
・ドラッグ&ドロップでファイル共有

【料金プラン(月額)】

・年払い850円/月払い960円/人・月(スタンダード)
・年払い1,600円/月払い1,800円/人・月(プラス)
・お問い合わせ(Enterprise Grid)

■Chatwork(チャットワーク)

【概要】

日本企業が開発した純国産のビジネスチャットツールです。社内だけでなく社外の人とのコミュニケーションが活発になります。触れば分かる操作性がうけているのか、※フリーミアムモデルを採用し、相場は2-5%と言われる契約率において、13%と非常に高い数値を獲得しているようです。また、セキュリティ面でもChatworkはKDDI株式会社と業務提携をおこない、セキュリティの強化や大規模組織でも利用できる管理機能を共同開発しており、中小企業から大企業、官公庁まで導入できるセキュリティ水準と管理機能で、導入企業数343,000社以上(※2021年12月末日時点)の実績があります。

※“フリーミアムモデルでは、有料ユーザーへの転換率が通常2~5%の範囲に留まる”

HubSpot社:『フリーミアムモデル完全ガイド』より引用

【特徴】

・純国産で直感的に使いやすい操作性
・メッセージを送ってからも編集、削除が可能
・大企業・官公庁でも利用できる高いセキュリティレベル

【料金プラン(月額)】

・月額0円/人(フリー)
・月額400円/人(パーソナル)
・月額500円/人、年間契約417円/人/月(ビジネス)
・月額800円/人(エンタープライズ)

■Microsft Teams(マイクロソフトチームズ)

【概要】

Microsoft社が提供しているMicrosoft Teamsは、Office365の有料プランに含まれているサービスです。家庭向け、一般法人向け、大企業向け、教育機関向けと4つのプランがあり、無料版でも基本的な機能を利用することができます。ビジネスチャット・通話・ファイル共有・ファイル編集などが可能になります。特徴としては何といってもMicrosoft Office系のソフトウェアとの高い連携性です。すでに多くの企業でOffice系のソフトは利用されているため、アカウント設定など新しいツールを導入するよりは管理コストが低く済みそうです。また、Microsoft Teamsの最大の特長は、最大1000人まで参加ができるオンライン会議があります。

【特徴】

・Office365系ソフトとの連携がスムーズ
・最大1000人参加可能なオンライン会議
・無料版もある

【料金プラン(月額/法人向け)】

・無料(Microsoft Teams)
・430円/人/月(Microsoft Teams Essentials)
・650円/人/月(Microsoft 365 Business Basic)
・2,390円/人/月(Microsoft 365 Business Premium)

(スケジュール管理ツール)

前述のように、スケジュール管理機能はグループウェアの中核とも言える機能です。自分や、社内のメンバーが今何をやっているのか、これから何をやるのか、確認するためのツールとなります。

■サイボウズ Garoon(ガルーン)

【概要】

サイボウズ社のガルーンは高機能なグループウェアの代表格です。言語設定や、タイムゾーンの設定など、国際展開している企業であれば、非常に便利に活用ができます。また、kintoneとの連携機能もあるので、ストック型の情報とフロー型の情報をシームレスに行き来できるのも特徴です。一方で、kintoneで管理すべきストック型の情報を登録・管理できるような機能があり、「オールインワンツール」としての弊害が発生する可能性があります。このあたりは極力機能制限をしながら、kintoneと併用することが望ましいと言えます。

【特徴】

・kintoneとの連携機能(オプション)
・組織メンバーの一覧表示
・勤怠管理などのワークフロー機能が充実

【料金プラン(クラウド)】

・845円/人/月(〜300ユーザー)
・800円/人/月(301〜1,000ユーザー)
・お問い合せ(1001~ユーザー)

■トヨクモ スケジューラー

このブログを運営しているトヨクモ社の提供するグループスケジューラー。フロー情報であるスケジュール情報に特化した製品。シンプル、簡単に社内・社外の日程調整をすることができ、10人まで無料で利用可能です。kintoneとも連携可能なので、フロー情報とストック情報を明確に切り分けた管理が可能です。

【特徴】

・社外の人との日程調整ビュー
・kintone連携(無料)
・10人まで無料で利用可能

【料金プラン(月額/法人向け)】

・無料/10ユーザー以下(フリープラン)
・200円/人/月(スタンダードプラン)
・お問い合せ(ビジネスプラン)

3.ストックとフローを組み合わせた活用例

ストック情報とフロー情報を組み合わせた、適正を活かした活用例を紹介します。

■Salesforce(セールスフォース)

Salesforceは高機能CRMの代表格ではありますが、用途をきっちり意図して切り分ければ、理想的なツールになり得ます。顧客情報の蓄積やお問い合わせ情報の蓄積のみならず、売上予測や契約管理、ワークフローまで対応可能です。カレンダー機能もついているので、スケジュール管理も可能です。どこがストック情報になり、どこがフロー情報になるかはユーザー自身で判断し、情報を蓄積する場所を間違えなく得れば、Salesforceで問題無く運用可能でしょう。

■Googleスプレッドシート×Google カレンダー×Google Chat

Google社の提供するGoogle Workspace内には、Excelと同様のインターフェイスでデータを蓄積できるGoogleスプレッドシートがあります。Googleスプレッドシートには、通知設定や閲覧権限の設定部分で少し難はありつつも、データの確認や分析に必要な機能を備えています。これにストック情報を蓄積し、フロー情報であるスケジュールやコミュニケーションはGoogle カレンダーとGoogle Chatで行う、というのは一つの解となり得ます。普段からGmailを使っている方は、この構成が始めやすい形かも知れません。

■kintone×トヨクモスケジューラー×Slack

サイボウズ社の提供するkintoneは、データの蓄積が得意な業務改善プラットフォームサービスです。社内からの手入力だけではなく、外部からのデータ登録も可能です。なので、営業日報などの報告系データだけではなく、外部からのお問い合わせやWeb発注なども全てkintone内で管理が可能です。これにより現状の確認や分析が可能です。ストック情報はkintone、フロー情報であるスケジュールやコミュニケーションはトヨクモスケジューラーやSlackで行う、という選択肢です。この構成だとトヨクモスケジューラーとkintoneの連携も可能なので、kintone内に蓄積されているお客様情報を活用して予定の作成などが可能となります。

適切な専用ツールの組み合わせでDXへ踏み出そう

ここまで、グループウェアの活用例とその時にハマりがちな落とし穴を説明してきました。データ活用の文脈で話をしてきましたが、少しづつ全容が見えてきたでしょうか。

1つの多機能ツールに全ての情報を入力するのではなく、活用するデータの想定をまず最初に行い、それを実現できる専用ツールを組み合わせて利用する、これがDX時代のグループウェア、情報システムの理想です。複数のツールを選んだ際も可能であれば、システム間連携ができると理想ですね。

皆さんのこれからのグループウェア選定のお役にたてれば嬉しいです。お気軽にお問い合わせくださいませ。



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