働き方改革や労働人口の減少から、作業のムダを省き、業務の効率化を目指す動きが高まりつつあります。
業務効率化の方法を模索し、さまざまなツールを導入する企業も増えてきました。
この記事では、ツールを導入することで、どのような業務効率化のメリットがあるか、それぞれの業務で具体的にどのようなツールが活用できるかを紹介します。
業務の効率化を目指すヒントとして、ぜひご一読ください。
目次
業務効率化ツールを導入するメリット
業務を効率化するツールを導入することで、さまざまなメリットがありますが、代表的なものを挙げると次のようなことが考えられます。
1.本来の仕事に集中できるようになる
2.社内の情報共有が円滑になる
3.人件費の削減につながる
4.ヒューマンエラーの防止につながる
ツールを導入することで得られる効果を、それぞれ見ていきましょう。
本来の仕事に集中できるようになる
業務を効率的に進めるための改善策で、第一に考えなくてはならないのは、作業のムダを無くすことです。
アナログな作業での日程調整や資料の整理など、意外と時間を奪われてしまう作業がたくさんあります。
日程調整や資料作成に膨大な時間を使い、本来の売上をあげるための仕事に時間を割けないのでは本末転倒です。
そのような作業は、ツールを活用し作業時間を短縮することで、自分が本来すべき仕事に集中する時間を確保できるようになります。
業務効率化のツールを活用して業務のムダを無くし、本来の業務に集中する時間が確保できることは、一番大きなメリットです。
社内の情報共有が円滑になる
ツールの導入で、グループ内の進捗状況や予定が把握できたり、会議の議題を共有できたりなど、情報共有が円滑に行えるようになります。
グループ内で情報を共有することで、作業のムダに気付けるというメリットもあります。
また、資料の管理や、仕事の進め方に関するノウハウなど、特定の担当者のみが把握していた業務は、ほかの社員には理解できない、属人化してしまっている業務も存在するでしょう。
業務を担当していた社員が休んだり、辞めたりしてしまうと、業務に支障をきたすなど、生産性が下がってしまうという大きなリスクも生じます。
そのような事態を防ぐためにも、便利なツールを活用し、グループ内で情報を共有して、誰でも対応できるように作業を効率化しておくことが大切です。
グループ内で情報を共有し効率化することで、業務の引継ぎも円滑に行えます。
人件費の削減につながる
業務時間の長さは、当然人件費の高騰につながります。
業務を効率化できると、ムダな作業が減り、作業にかかる時間が少なくなるため、残業時間や人件費の削減といった時間的・金銭的コストを減らすことにもつながります。
人件費を削減するといっても、必要な人員を減らしてしまうと、ほかの社員の残業時間が増えてしまい、逆に生産効率が下がってしまうことがあります。
ツールを導入したり、業務内容を改善することで、効率化を進めることが重要です。
近年、労働人口の減少が進み、人材の確保がこれからますます深刻になると言われています。
そのような状況でも、業務を効率化し負担を減らすことで、人手不足にも対応できます。
ヒューマンエラーの防止につながる
仕事で起きやすいミスには、うっかりミスや、疲労から起こるミス、確認不足によるミスや、連絡が行き渡らずに起こるミスなど、さまざまなパターンがあります。
人間の行動によって起きてしまう人為的ミスを「ヒューマンエラー」と言い、人は、どれほど注意していても、意図せずにミス(ヒューマンエラー)を起こしてしまうものです。
ヒューマンエラーは、業務の仕組みを改善することで防げるものがあります。
わかりづらい作業工程を見直したり、作業環境を整理したりすることも大切です。
ツールを活用し、業務を効率化して作業の負担が減ることで、疲労から起きてしまうミスの削減にもつながります。
グループ内で情報を共有することで、進捗状況を誰でも確認できるようになり、アナログ作業では起こりがちなミスが、結果的に大幅に減ることにもなるのです。
業務効率化ツールを導入するデメリット
業務を効率化するためのツールを導入することで、主に次のようなデメリットが考えられます。
1.コストがかかる
2.運用に時間がかかる
ツールの導入にはデメリットも考慮して、検討することをおすすめします。
コストがかかる
ツールを導入するためには、やはり一定のコストがかかります。
サブスクリプション型のツールは、比較的手軽に始めることができますが、最低契約期間が定められていることもあるため、単月のコストではなく、契約期間分のトータスコストを理解した上で、慎重に判断しましょう。
ツールの導入にかかるコストと運用コスト、双方の費用と、導入によって削減が見込まれる人件費とを天秤にかけて検討する必要があります。
運用に時間がかかる
新しいツールを導入するときは、全員がツールの使い方を理解したり操作に慣れたりするまでに、時間がかかることはデメリットの一つです。
日々の業務に追われる中、ツールに慣れないうちは、負担が増えてしまうと感じてしまいます。
社内でツールを定着させるためには、操作に慣れるまで「なぜこのツールが必要なのか」「このツールがどのように役立つのか」を伝えていったり、導入研修を行ったりすることが有効です。
社員が少しずつツールのメリットを感じていくことで、社内での活用が進み、ツールの活用が定着していきます。
職種別おすすめの業務効率化ツール
次に、職種別のおすすめツールを紹介します。
全職種におすすめの「コミュニケーションツール」、営業職におすすめの「名刺管理ツール」、財務や経理職におすすめの「会計ツール」といった業務効率化ツールがあります。
コミュニケーションツール(全職種)
最近ではメールに置き換わり「チャットツール」の導入が多くの企業で盛んに行われています。
必ず「◯◯様」を宛名を明記したり、冒頭に「お世話になっております」と毎回付けたりといった、メール特有の手間が発生せず、会話形式で気軽にやり取りができることにメリットを感じている企業が多いようです。
すべての職種に活用されるコミュニケーションツールを、3つ紹介します。
slack
slackは、アメリカで生まれたビジネスチャットツールで、個別のチャットだけでなく、複数の相手とのチャットもスムーズに行えるツールです。
検索機能が備わっているため、以前のメッセージを探し出すことも簡単にできます。
文章の装飾やスタンプといった、チャット内の機能も充実しているため、ビジネスでのやり取りにも重宝します。
slackは、GoogleカレンダーやGoogleドライブ、TrelloやZapierなど、1500以上の外部サービスとの連携が可能です。
外部サービスと連携できることで、すべてのサービスの通知がslackに届くため、作業の効率化に貢献します。
Chatwork
Chatworkは、機能がシンプルでわかりやすいことが特徴の、日本で生まれたチャットツールです。
グループチャット機能もあり、社外の人とのグループも作成できるため、社内と社外のメンバーが入り混じったグループを作ることも可能です。
タスク管理機能は、自分のタスク管理に活用でき、相手に仕事を依頼するときにも使用できます。
タスクが完了すると、チャットに通知されます。
LINE WORKS
LINE WORKSは、LINEと似た使い心地の、ビジネスコミュニケーションツールです。
ビジネス向けのツールは、慣れるまで操作に手こずることがありますが、LINEに使い慣れたユーザーであれば、私生活でLINEを使っている通りにすぐに活用できます。。
LINEとの違いは、LINE WORKSの場合、既読数はもちろん、誰が既読済かまで確認できることです。
業務に応じて自由にグループを作成できるため、プロジェクトやタスクごとに専用のトークルームを作れる点も通常のLINEと同じです。
名刺管理ツール(営業)
名刺管理ツールとは、紙の名刺の情報をデジタルデータ化して管理するものです
これまで名刺は交換した本人が個人で管理することが多く、人間関係が属人化してしまうこともありましたが、名刺管理ツールによって名刺のデータが会社全体の資産となります。
「◯◯社の◯◯さんの連絡先知らない?」と聞いて回る必要がなく、一度システムに名刺を登録してしまえば、誰もがそのデータを閲覧できるようになります。
Sansan(サンサン)
Sansanは、法人向けのクラウド型名刺管理サービスです。
社員数が多い会社のために「取引先会社の組織図作成ソフト」や「営業支援機能」など、たくさんの便利な機能が備わっています。
名刺をスキャンして、会社全体で顧客や見込み客の情報などを管理・共有し、営業活動に活用できます。
名刺情報を組織で一括管理し、組織全体で閲覧できるようにして、社内で人脈を共有することが可能です。
クラウド型サービスのため、スマートフォンからも閲覧でき、出先からでも情報にアクセスできる点も魅力です。
Sansanは、業務を効率化させ、見込み客の獲得といった戦略的な営業に活かして、営業のチャンスを広げることに特化したサービスです。
Eight
Eight は、Sansan株式会社が開発し運営している、個人や中小企業向けの名刺管理アプリです。
Eightには無料プランもあるため、ツールに費用をかけたくない個人でも気軽に活用できます。
Eight のスマートフォンアプリを使用して名刺の写真を撮影するだけで、名刺の登録は完了です。
写真から名刺の情報を読み取る精度もかなり高く、入力された情報を修正する必要はほぼありません。
アプリを使用しての名刺スキャンは、一度に4枚まで可能です。
一度に大量の名刺をスキャンしたいときは、Eight の「どこでもスキャン」という専用のスキャナーが使用できるサービスを利用して、名刺を登録します。
「どこでもスキャン」のスキャンスポットは、コワーキングスペースやカフェ、ドコモショップなど、全国約500ヵ所に設置されていて、無料で使用できます。
Eight の有料版では、利用者数20名未満での法人利用が可能となり、社内でデータを共有することが可能です。
Eight は、個人や会社内での名刺管理に特化し、Sansanは会社内で名刺を共有して営業力の強化に活かすサービスです。
会計ソフト(経理・財務)
会計ソフトは、簿記の知識がなくても会計関連の手続きや書類作成が簡単にできる、会計処理に役立つソフトです。
日々の取引データの入力が自動化されるため、経理の業務を大幅に軽減します。
また、細かい数字を扱う仕事であるため手作業ではヒューマンエラーもよく起こりますが、会計ソフトを導入することで計算ミスや仕分けのミス等が減り、正確な作業が可能となります。
業界シェア上位3位の「三大クラウド会計ソフト」を紹介します。
・freee
・マネーフォワード
・弥生会計
freee
freee会計は、利用事業者数が約100万社を超える、業界シェア1位のクラウド会計ソフトです。
freeeの画面は、専門用語も少なく、直感的な操作も可能なため、経理業務の初心者でも簡単に操作できます。
銀行口座やクレジットカードをfreeeに連携させておくことで、明細を自動で取得でき、自分でデータを入力せずに済みます。
作業としては、自動的に入力されているデータや、自分で入力したデータを、それぞれに振り分けるのみです。
各データのテキストを解析して、自動で勘定科目を選択し仕訳してくれるため、あとは登録するのみで作業が完了します。
請求書の作成も簡単にでき、入金が済んだものは自動で処理されます。
収支の推移など、入力した情報をグラフなどのレポートで確認することも可能です。
freee会計は、1ヵ月間無料で利用できるため、一度試しに使ってみてから始めることもできます。
マネーフォワードクラウド
マネーフォワードは、お手軽な料金プランと豊富な機能が特徴の、クラウド会計ソフトです。
勤怠管理や給与計算など、バックオフィス業務の機能もあり、手作業の入力に比べて、経理業務を半分ほど短縮できます。
銀行口座やクレジットカード、POSレジなどと連携することで、取引明細データを自動で取得し、自動で仕訳してくれます。
入力したデータを基にレポートも作成されるため、売上状況や経費などをレポートにして、現状を効率よく把握することもできます。
マネーフォワードは、経理業務などの経費を削減したいと考える企業におすすめです。
弥生会計オンライン
弥生会計は、小規模法人に必要な会計業務が、これひとつで可能なクラウド会計ソフトです。
金融機関やPOSレジと連携させて、明細を自動で取り込み、AIが自動で仕訳して帳簿に反映してくれるため、作業時間が大幅に削減されます。
帳簿のデータは自動集計されるため、財務状況もリアルタイムの状況が確認でき、経営判断にも役立ちます。
弥生会計は、税理士が利用していることも多く、税理士とのデータのやり取りも簡単。
操作でわからないことがあれば、身近な税理士に相談できるというメリットもあります。
面倒な経理作業を大幅に削減できるため、業務効率も上がり、残業からも解放されます。
日程調整ツール(営業・人事)
日程調整ツールとは、社員やメンバーの業務上のスケジュールを入力し、会議や打ち合わせ、外出などの日程を、調整するためのツールです。
業務上だけでなく、飲み会や歓迎会といったカジュアルなイベントの日程調整にも活用できます。
日程を調整するためには、参加メンバーの都合のよい日時をリサーチしたり、全員に連絡したりなど、かなりの時間と手間を要します。
一方、ツールを導入すれば、基本的にイベント参加予定者がそれぞれ参加可否を回答したり、都合の良い日時を入力したりするだけで日程調整は完了します。
日程の連絡漏れやダブルブッキング等も起こりづらくなり、効率化の実現だけでなく、業務の正確さも上がります。
ここ数年で、急速に普及が進んでいる「日程調整ツール」を紹介します。
トントン
トントンは、専用のアプリをインストールせずに利用できる、手軽なツールです。
削除する際のパスワードを設定するのみで、ログインなども必要ありません。
仕事での使用だけでなく、プライベートでも活躍します。
友人同士との予定の調整や、出欠確認にも使用可能です。
画面がシンプルで、見やすくて操作しやすく、手軽に使用できることが魅力のツールです。
スケコン(Schecon)
スケコンは、「日程調整 」と「オンライン名刺交換」を兼ねたツールです。
スマートフォンでも利用でき、GoogleカレンダーやOutlookカレンダーと連携し、自動的に空き時間を抽出します。
ZOOM、Microsoft Teams、Google MeetといったWeb会議ツールとも連携できるため、オンライン会議などの計画にも重宝します。
トヨクモスケジューラー
「安否確認サービス」で有名なトヨクモ株式会社の、日程調整「トヨクモスケジューラー」は、社内だけでなく、社外とのスケジューリングにも活躍するツールです。
社外との日程調整は、何度もやり取りする必要があり、社内での調整よりも手間や時間がかかります。
トヨクモスケジューラーなら、社外の人との調整は、予定をシェアして待つだけです。
社外の人は、予定のタイトルや参加メンバーなど、詳細な情報を見ることができないようになっています。
スケジュールは常に更新され、最新のものが表示されているため、重複することなく日程を決められます。
Google Meet、ZOOM、Microsoft Teamsと連携しているため、オンライン会議の予定を入力するときもワンクリックでURLを表示できる点も便利です。
cybozu.comやkintoneとも連携しており、データを取り込むことも簡単です。
kintoneに登録されている会社名や電話番号、住所なども取り込めます。
ツール導入で、業務効率と社員のモチベーションアップを目指しましょう
業務の効率化は、社員の努力だけで改善していくものではありません。
具体的な対策を考え、効果的なツールの導入を検討し、自分たちのグループや組織に適切なツールを選んで業務の効率化を進めていきましょう。
業務効率が上がることで、作業にかかるムダな時間が削減され、生産性の向上だけでなく、社員のモチベーションアップとワークライフバランスが整う効果も期待できます。