時間管理ができないと長時間労働やストレスを抱える原因となるため、スキルや習慣は社会人の早い段階から身につけておくことが理想的です。本記事では時間管理ができないことによるデメリットのほか、原因や対処法を解説します。「タイパ」と呼ばれるタイムパフォーマンスの概念もご紹介しているのでぜひご一読ください。
目次
仕事で時間管理ができないことのデメリット
仕事で時間管理できないことによって、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。
- 生産性が下がり労働時間が長くなる
- ミスが増え関係者からの信頼を失う
- 精神的なストレスを抱える
- 成果が出ず会社の業績が落ちる
それぞれの内容を解説していきます。
生産性が下がり労働時間が長くなる
仕事で時間管理ができないことによるデメリットとしては、生産性が下がり労働時間が長くなることが挙げられます。
時間管理ができていない人は、スケジュール管理も得意ではないことがほとんどです。1つの仕事が終わるたびに次にどの仕事に着手すべきか迷うため、タイムロスが生じがちです。またその日の気分で作業の順番を決めたり、優先順位ではなく先に依頼された仕事から手をつけたりするため、効率もよくありません。
一方で、時間管理ができている人は、たとえば頭が冴えている朝一番にクリエイティブな仕事をおこなったり、関連性のある作業を組み合わせたりと常に工夫をしているものです。
そのため、時間管理ができていない人は時間管理が得意な人に比べて仕事の生産性が低いことが多く、仕事量が同じであっても長時間労働の状態に陥りやすくなります。結果的にワークライフバランスが崩れ、余暇の時間の確保が困難になるでしょう。
ミスが増え関係者からの信頼を失う
ミスが増え関係者からの信頼を失うことも、仕事で時間管理ができないことによるデメリットです。
時間管理が徹底できていないことにより大切なアポイントに遅刻したり、仕事の納期を守れなかったりすることが重なると、周囲から「時間にルーズな人」という評価をされます。
なんとか納期に間に合ったとしても、時間に余裕がない状況で取り組むため、それなりの成果しか得られない可能性が高いでしょう。当然、周囲からの信頼を得ることは難しく、新しく責任ある仕事を任される機会もなくなります。
それに対して時間管理が上手な人は、提出物の締め切りや仕事の納期を守るのはもちろん、ちょっとしたアポイントに関しても時間に遅れることはありません。時間管理の意識の有無だけで周囲の評価が変わることを、おさえておく必要があります。
精神的なストレスを抱える
精神的なストレスを抱えてしまうリスクも高まります。時間管理ができていないと仕事を効率的に終わらせることが難しいため、残業が増え労働時間が長くなる傾向にあることはすでにお伝えしました。長時間労働は、メンタル面に悪影響を及ぼします。
そこまでいかなくても、常に焦燥感にかられ、心に余裕を持てなくなるため注意が必要です。余裕のなさから家族やパートナーに当たってしまい、人間関係にも悪影響を及ぼすことも考えられます。
成果が出ず会社の業績が落ちる
時間管理ができていないと労働生産性が下がり働く時間が長くなるだけでなく、非効率であるために成果自体も生み出しにくくなるでしょう。どれだけ労働力を投入しても、業績が落ちていく可能性があります。
また、日本企業の多くは生産量にかかわらず、決まった給料を支払います。残業時間が長ければ、さらに時間外手当も支払わなければなりません。生産量に見合わない賃金を支払うという意味でも、企業に負荷がかかります。
時間管理ができない原因
時間管理ができない原因として考えられるのは、主に以下の4つです。
- タスクの優先順位付けができていない
- 時間=有限という意識を持てていない
- 周囲の人に頼れていない・コミュニケーションが取れていない
- 各タスクの期限を設定・理解できていない
時間管理ができるようになるには、まずその阻害要因をおさえる必要があります。1つずつ確認していきましょう。
タスクの優先順位付けができていない
タスクの優先順位付けができていないために、時間管理ができない可能性があります。
タスクを複数抱えている場合、限られた時間内に効率よく終わらせるためには、適切な優先順位付けが不可欠です。なぜなら、リソースと呼ばれる労働力と時間の絶対量は有限であるためです。優先順位付けによって各タスクの重要度を把握し、重要性が高いタスクにリソースを充てる必要があります。
タスクの優先順位を曖昧にしたまま、簡単なタスクや目についたタスク、催促された仕事などを優先的にすすめてしまうと、時間内にすべてを完了するのは困難でしょう。常にバタバタと忙しくしているにもかかわらず、スケジュール通りに仕事を完了できず、中長期的な生産性も上げられません。
時間=有限という意識を持てていない
時間=有限という意識を持てていないと、時間管理を適切におこなうことは困難といえるでしょう。
たとえば、お金に関しては通常は無尽蔵にあるものではなく、計画なしに使うべきではないことは誰もが知っています。時間も有限であるため、本来はお金と同じように計画的に使っていく必要があるのに、なぜか無限にあると錯覚してしまいがちです。
時間は有限であることを意識すると、必然的に仕事に優先順位を付け、重要なものから完了させていくようになるでしょう。時間は有限であるというマインドセットを、常に持つことが重要です。
最近広がりつつある「タイムパフォーマンス」と呼ばれる概念は、費やした時間に対して得られる満足度の度合いを意味します。インターネットやスマートフォンの普及によって、従来は読書やテレビの視聴に充てられていた時間の使い方が変化しました。さらに、信号やレストランで料理が出るのを待つ時間などの、細切れの時間もコンテンツ消費に使われるようになりました。
こうした変化を背景に、自由な時間をどのように使うかを消費者が重視するようになった結果、さまざまな場面でタイムパフォーマンスが意識されるようになったのです。そもそも余暇時間がなければ自由に時間を使うこともできないため、時間は有限であることを意識し、時間管理のスキルを身につける必要があるといえます。
周囲の人に頼れていない・コミュニケーションが取れていない
時間管理が思うようにできていない原因には、周囲の人に頼れていない、コミュニケーションが取れていないことも挙げられます。早い段階から周囲に相談すれば解決することでも、1人で抱え込んでしまうことで、時間内に終わらない状況を引き起こします。
またコミュニケーション不足が原因で、タスクを遂行するために必要な情報が不足しているケースも少なくないでしょう。
さらに、コミュニケーションを活発にとることで、それぞれが抱えているタスクの内容や進捗状況の見える化につながります。仕事の見える化ができれば、社員同士の協力体制の構築やタスクの適切な分配が可能になり、生産性の向上が実現するでしょう。
各タスクの期限を設定・理解できていない
各タスクの期限を設定できていない、また理解できていないことも、時間管理ができない要因の1つです。
多くのタスクを抱えているにもかかわらず、人との約束やアポイントしか管理できていない場合も、時間管理を適切におこなうのは現実的ではありません。明確な締め切りが存在しないタスクを後回しにする習慣も、時間管理の阻害要因になることに注意しましょう。
また商談や打ち合わせにくわえ、最近はチャットやメールでもどんどんタスクが追加されていくことが多いです。そのため発生したタスクを抜け漏れなく把握、管理する必要があります。
時間管理ができるようになる具体的な方法
時間管理ができるようになる具体的な方法は、次の4つです。
- 1日の時間の使い方を最初に決める
- 自分のタスクをすべて洗い出し優先順位を付ける
- 各タスクの期限を自ら設定する
- アナログな手段だけに頼らずツールを導入する
具体的な方法が確認できれば、生産性が向上するだけでなく、余暇の確保にもつながるでしょう。ワークライフバランスを実現するために、チェックしていきましょう。
1日の時間の使い方を最初に決める
時間管理ができるようになる方法としては、1日の時間の使い方を最初に決めることが有効です。ただし、次のような手順を踏むことをおすすめします。
1.現状把握をする
2.改善点を見つける
3.1日の時間の使い方を決める
はじめに毎日の時間の使い方を1週間程度記録し、現状把握をします。慌ただしく過ごしていると、日頃どのように時間を使っているか把握できていないことが珍しくありません。そのため、1週間程度は小まめに記録をつけましょう。
現状把握ができたら、どの部分を改善すれば適切な時間管理につながるかという視点のもと、改善点を洗い出します。たとえば始業後すぐのメールチェックや返信にかかっている時間が長い、優先度の高い仕事を夕方から始めているといったことが挙げられるでしょう。
改善点を考慮しながら、1日の時間の使い方を決めていきます。はじめから1ヶ月分や1週間分といったまとまった単位で決めてしまうと、実行が難しくなります。そのため、1日分のみを作成することがポイントです。
自分のタスクをすべて洗い出し優先順位を付ける
適切な時間管理のためには、自分のタスクをすべて洗い出し優先順位を付けることも重要です。タスクに漏れがあるとそのタスクが期限に間に合わないだけでなく、後でリカバリーしなければならないため、ほかの業務にも影響を及ぼします。
タスクの洗い出しの際には、大きなタスクだけでなく細かいタスクもすべて書き出しましょう。新しく発生したタスクも、すぐに一覧に追加します。すぐに追加できない状況であればメモに残すなどして、抜け漏れが発生することを防ぎます。正確性を高めるために、タスク管理ツールを利用することもおすすめです。
タスクの洗い出しができた段階で、それぞれの緊急性と重要性を考慮し優先順位を付けていきます。
B:緊急ではないが重要 | A:緊急かつ重要 |
D:重要でもなく緊急でもない | C:重要ではないが緊急 |
上記の表のうち、総合的に優先順位がもっとも高いのがA、低いのがDです。緊急であることを意識するあまり、Cの「重要ではないが緊急」を優先してしまいがちなため、優先順位を間違えていないか注意しましょう。
時間には限りがあるため、状況によってはDの「重要でもなく緊急でもない」はやらないと、あらかじめ決めておくことも大切です。
各タスクの期限を自ら設定する
各タスクの期限を自ら設定することも、時間管理をおこなうために効果的な手法です。明確な期限が存在しないタスクに関しても自分で完了時期の目安を設定することが重要です。
「月末くらいには終わらせる」といったように曖昧な設定では、効果が半減してしまいます。必ず具体的な日付を決めるようにしましょう。
また、比較的日数を要するタスクには中間の締め切り期限も設定することをおすすめします。小刻みな期限を設けることで、よりシビアに進捗を管理できます。
アナログな手段だけに頼らずツールを導入する
アナログな手段だけに頼らず、ツールを導入することもおすすめです。紙による従来のタスクやスケジュール管理のデメリットとして、紛失リスクや情報共用の難しさが挙げられます。
デジタルの管理ツールを使えば、アクセス権限を付与すればグループでの共有も可能です。お互いのスケジュールや抱えているタスクが見える化するため、チーム単位でタスクを行う際にも便利です。
時間管理におすすめのツール
時間管理におすすめのツールは、次の3つです。
- カレンダーツール
- タスク管理ツール
- 日程調整ツール
それぞれの特徴や具体的なおすすめツールなどをお伝えしていきます。
カレンダーツール
カレンダーツールは自分のスケジュールやタスク、目標などを入力して管理するツールです。従来は手帳やホワイトボードで管理するほか、エクセルで管理する方法も普及していました。しかし、GoogleカレンダーやOutlookカレンダー、Yahoo!カレンダーなど無料で使えるものが多く、クラウドのカレンダーツールの利用が増えています。
タスク管理ツール
タスク管理ができるツールも人気です。スマートフォンやタブレットの普及によって、外出先でも業務の管理がしやすくなりました。またテレワークの広がりにより、どこでもタスク管理ができる環境が必要とされています。
タスク管理ツールはタスクの一括管理が可能で、どこからでもアクセスできるものがほとんどです。たとえばTaskworldはタスク管理をオールインワンで実行できるツールで、直感的な操作にも対応している点が特徴です。またBacklog(バックログ) は課題管理からバグ管理システムまで搭載し、さまざまな業種で支持されています。
日程調整ツール
日程調整ツールは、スケジュール調整・管理を簡略化するツールです。社内はもちろん社外、さらにプライベートでも使えるもののほか、英語に対応しているタイプもあります。たとえば打ち合わせの日程を決める際には、双方が都合のつく日時を洗い出し、すり合わせなければなりません。
日程調整ツールのうち候補提案型のものは、カレンダーから自分の都合のつく日を選び、相手に選択・承諾してもらえます。
トクモスケジューラーは、社内の予定が見やすいグループスケジューラーです。社外の人との日程調整も、シェアして待つだけと非常に簡単です。目玉機能の1つが「空き時間をシェア」で、自分やグループの空いている日程を確認できるURLを作成できます。
時間管理のスキルや習慣を身につけよう
仕事で適切な時間管理ができないと、生産性が下がるだけでなく信頼を失ったり、ストレスを抱えたりするリスクが生じます。
余暇時間を確保するためにも、タイムパフォーマンスを常に意識して行動することをおすすめします。今回ご紹介した時間管理の方法や、デジタルツールを使って、仕事を効率化させましょう。